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グリーンランド撮影記 Vol.2 — 白夜が照らした、氷の世界

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 2024年8月12日
  • 読了時間: 10分

更新日:8月15日


Vol.1では、グリーンランドという場所や、日本からイルリサットまでの道のり、そしてこの土地に根付く文化や暮らしについてご紹介しました。


今回は私がグリーンランドを訪れた大きな目的でもあった、白夜と氷山についてです。


初めて体験した白夜。

当たり前のように海を漂う流氷。

想像を遥かに超える大きさの氷山。

空から見下ろした、果てしなく続く氷の世界。

そして、夜23時から船に乗って出会った、真夜中とは思えないほど明るく美しい景色。


今振り返っても、夢だったのではないかと思ってしまうほど幻想的な6日間でした。


今回は、そんなグリーンランドで出会った景色と、撮影の思い出をお届けしたいと思います。



到着した瞬間から、ときめきの連続


イルリサットで滞在したのは、バルコニーのあるホテル。

日本から片道約2日。

長い移動を終え、ようやくホテルへ到着しました。


部屋に入り、バルコニーへ出ると、目の前いっぱいに広がる海。

そして、その海には大小さまざまな流氷が浮かんでいました。

本当に、当たり前のように。


日本では見ることのできない景色です。

遠く離れたグリーンランドまでやって来たことは分かっていたのですが、その景色を目にして初めて、

「本当にグリーンランドに来たんだ。」

と実感したような気がします。


さらに美しかったのが、海面にかかる薄い霧。

霧の向こうから太陽の光が差し込み、その光を受けた水面がキラキラと輝いていました。

海。

流氷。

霧。

太陽。

そのすべてが重なって、目の前に一つの美しい景色をつくっていました。


荷物を置いたばかりだというのに、しばらくバルコニーから離れることができませんでした。


何を見ても新鮮で、何を見ても美しい。


もう、すべてにときめいていました。笑


まだ本格的な撮影も始まっていないのに、

「この景色を見ることができただけでも、ここまで来て本当に良かった。」

そう思わせてくれる景色が、グリーンランドには当たり前のように広がっていました。



初めて体験する「白夜」


今回、7月末にグリーンランドを訪れた大きな理由の一つが、白夜でした。


白夜とは、夏の高緯度地域で太陽が沈まなかったり、沈んでも空が暗くならなかったりする現象です。

知識としては知っていました。

でも、

「夜になっても明るいって、どんな感覚なんだろう。」

実際に体験するまで、まったく想像ができませんでした。


時計を見ると22時。

23時。

そして0時。

それでも外は明るいのです。


身体は「もう夜だよ」と分かっているはずなのに、目の前の景色は夕方のよう。

時間の感覚が少しずつ曖昧になっていきます。


そして何より感動したのが、白夜の時間に空が見せてくれる色でした。

太陽が水平線近くまで下がると、空は少しずつ淡いピンク色へ。

青、白、薄紫、ピンク。


言葉では表現しきれないほど繊細な色が混ざり合い、その光が海と氷を優しく照らしていきます。

夕焼けが終わらないまま、そのまま朝焼けへとつながっていくような世界。


これまでいろいろな場所で朝日や夕日を見てきましたが、こんな光は初めてでした。

初めて見る。

初めて体験する。


その一つひとつが嬉しくて、何度も時計と空を見比べていたことを覚えています。



ミッドナイトクルージング 海面に浮かぶ、もう一つの太陽


6日間の撮影の中で、4日間ミッドナイトクルージングに出かけました。


初日は風がほとんどなく、海は驚くほど穏やかでした。

波のない静かな水面に、低い位置から太陽の光が差し込みます。

すると、空にある太陽がそのまま海面に反射して、

太陽が二つあるように見えたのです。

空に一つ。

海に一つ。

こんな景色を見るのは、生まれて初めてでした。


そして何より驚いたのが、グリーンランドで見る太陽の存在感。

とにかく大きくて、近い。

いつも見ているはずの太陽なのに、まったく違うものを見ているような感覚でした。


あまりにも近くに感じて、思わず手を伸ばしたくなるほど。


その大きな太陽が、淡いピンク色の光で空と海をゆっくりと染めていきます。

白い氷。

静かな海。

そして、二つの太陽。


自然がつくったとは思えないほど幻想的で、ただただ見惚れていました。

また初日は珍しいことに、海面に薄い霧がかかっていました。


霧の向こうには巨大な氷山が浮かび、その間から柔らかな太陽の光が差し込んでくる。

現実の景色を見ているはずなのに、

まるで夢の中に迷い込んでしまったようでした。


幻想的で、ロマンチックで。

どこを見ても美しくて。

「こんな世界が本当に地球にあるんだ。」

そんなことを思いながら、夢中でシャッターを切っていました。


二日目は、少し曇り。

三日目は、曇り空。

そして四日目は、晴れ!


同じ23時から2時頃までの海。

同じ場所を巡っているはずなのに、毎日まったく違う景色でした。


霧に包まれた幻想的な姿。

雲の下で静かに佇む氷山。

光を抑えた曇り空だからこそ見えた、青や白の繊細な色。

そして最後には、太陽の光をいっぱいに受けて真っ赤に輝く海と氷。


4日間のミッドナイトクルージングで、グリーンランドが持つすべての表情を見せてもらったような気がしました。

晴れだけが美しいわけではなく、

霧の日も、

曇りの日も、

光に満ちた日も、

それぞれにしかない美しさがありました。


「今日はどんな景色を見せてくれるんだろう。」

毎晩そう思いながら船に乗れたことも、今振り返ると本当に贅沢な時間だったと思います。


どの日が一番だったかと聞かれても、きっと選べません。

霧も、雲も、太陽も。

静かな海も、そこに浮かぶ氷山も。

そして、海面に現れたもう一つの太陽も。

すべてが美しく、すべてが大切な思い出です。


4日間同じ時間に海へ出ても、一度として同じ景色には出会いませんでした。

ある日は、空が淡いピンク色に染まり、

ある日は、太陽の光が海面いっぱいに反射し、

ある日は、霧の向こうに巨大な氷山が浮かんでいる。


氷山も流氷も、海の流れとともに少しずつ場所を変えていきます。

雲の形も、

光の角度も、

海の色も、

毎日違う。


昨日美しかった場所へ翌日行っても、昨日と同じ景色はありません。

だからこそ、

「今、撮らなきゃ。」

と思うのです。


明日もあるから、ではなく、

この光も、

この氷の位置も、

この空の色も、

この瞬間にしか存在しない。


4日間撮影へ出かけても、まったく飽きることはありませんでした。

むしろ日を重ねるほど、

もっと見たい。

もっと撮りたい。

という気持ちが強くなっていき、撮影することの喜び、今この瞬間の大切さを改めて実感しました。


一日目


二日目


三日目


四日目



空から見た、イルリサット・アイスフィヨルド


ミッドナイトクルージングと同じくらい楽しみにしていた撮影がありました。

それが、UNESCO世界自然遺産に登録されているイルリサット・アイスフィヨルドの空撮です。


海の上から見るだけでも十分すぎるほど壮大な氷の世界。

でも、

「この景色を空から見たら、一体どんな世界が広がっているんだろう。」

グリーンランドへ行く前から、とても楽しみにしていました。


撮影時間は約40分。

空へ上がり、眼下にアイスフィヨルドが見え始めた瞬間、そのとてつもない広さと白さに言葉を失いました。


どこまで見ても、白。

白。

そして、白。

最初はあまりにも広大すぎて、目の前の景色をうまく理解できないほどでした。


でも、よく見ると、

眼下に広がっているこの白さが、全部「氷」なのです。

「これ、全部氷なんだ……。」

その事実に気づいた瞬間、改めてグリーンランドという自然のスケールに圧倒されました。


長い長い年月をかけて形成された氷。

何千年、何万年という地球の時間を内包した氷が、目の前いっぱいに広がっている。

私が今見ている景色の中に、人間の時間軸では想像することも難しいほど長い時間が存在している。

そう思うと、胸がいっぱいになりました。



自然が描いた「アート」


上空から見ると、海から眺めていた時とは、またまったく違う景色が見えてきます。

氷と氷の間を縫うように伸びる海。

大小さまざまな形をした氷。

風や海流によって生まれた曲線。

亀裂。

重なり。

一つとして同じ形はありません。


まるで真っ白なキャンバスの上に、自然が自由に線を描いているようでした。

自然が生み出す「アート」と「模様」。

誰かがデザインしたわけでも、誰かが計算して配置したわけでもない。


ただ自然の営みの中で生まれたものなのに、どうしてこんなにも美しいのだろう。

写真を撮りながら、何度も感動しました。


そして、一面の白い世界の中で時折目に飛び込んでくるのが、青く輝く氷。

淡い水色。

深い青。

そして光の加減によっては、エメラルドグリーンのようにも見える氷。


白の中に突然現れるその色が本当に美しくて、見つけるたびに夢中でシャッターを切りました。

「氷=白」

そんな当たり前の認識さえ、この場所では何度も覆されました。


撮る、目をぱちぱち、また撮る

そして空撮中、もう一つ忘れられないことがあります。

とにかく、眩しい!!笑


私は撮影中、できるだけ自分の目で本来の色を見ながら撮影したいので、基本的にサングラスをしません。

撮影中の眩しさには強い方なのですが、この時ばかりはさすがに目がしばしばしました。笑


太陽の光を、一面の氷と海が反射するのです。


ファインダーを覗いて10秒ほど撮影。

一度カメラから目を離して、目をぱちぱち。

そして、またファインダーを覗いて撮影。


撮る → 目をぱちぱち → また撮る。


約40分、その繰り返しでした。笑


眩しい。

でも見たい。

眩しい。

でも撮りたい。

その気持ちの方が圧倒的に勝っていました。笑


今となっては、それも含めてとてもいい思い出です。

もっと見ていたい。

もっと撮りたい。

そう思っているうちに、約40分の撮影はあっという間に終了。


空から見た圧倒的な白さ。

自然が描いた無数の模様。

そして白の世界の中で宝石のように輝いていた青い氷。

今でも鮮明に覚えています。


地上から海上から、上空から。

見る場所が変わるたびに、まったく違う美しさを見せてくれる。


自然には、一体いくつの表情があるのだろう。

そんなことを思った、忘れられない約40分間の撮影でした。



白夜と氷の世界で感じたこと


4日間のミッドナイトクルージングと空撮を通して、グリーンランドの自然が持つたくさんの表情に出会うことができました。


霧に包まれた幻想的な氷山を見た日もあれば、曇り空の下で青や白の繊細な色に気づいた日もありました。そして晴れた日には、太陽の光を受けた海と氷が眩しいほど輝いていました。


同じ場所を訪れていても、一度として同じ景色はありません。

光の入り方も、雲や霧の動きも、海の色も、流れていく氷の位置も毎日少しずつ違います。

だからこそ、目の前に美しい景色が現れるたびに、

「今、撮りたい。」

という気持ちが自然と湧いてきました。


明日また来ればいいのではなく、この瞬間の景色を見ることができるのは今だけ。

そんな当たり前のことをグリーンランドの自然に何度も教えてもらい、写真を撮ることの楽しさや、今この瞬間に立ち会えていることのありがたさを改めて感じた6日間でした。


初めて体験した白夜は、想像していた以上に不思議で美しく、目の前に現れる氷山の大きさには何度も驚かさ

れました。


空から見渡したアイスフィヨルドでは、果てしなく続く白い世界に圧倒され、海の上では、刻一刻と変わっていく光や氷の表情に夢中でシャッターを切りました。



日本から約10,300km離れた場所まで来なければ出会うことのできなかった景色を、自分の目で見て、感じて、そして写真に残すことができたことを本当に嬉しく思います。


そして、グリーンランドで心を動かされたのは、こうした壮大な景色だけではありませんでした。

海や空から眺めていた大地を実際に自分の足で歩いてみると、今度はもっと身近なところに、この土地ならではの美しさや面白さが隠れていることに気づきました。

次回Vol.3では、氷山の間をカヤックで進んだ時間や、想像以上にハードだったトレッキングについてお届けします。

歩いている途中には、厳しい気候の中でも力強く咲く植物に出会ったり、夕景を眺めながら腰を下ろした岩から意外な暖かさを感じたりと、実際にその土地に触れたからこそ気づけたことがたくさんありました。

さらに、夏のグリーンランドで驚いたことや、日本とは異なる食や自然環境についても書いていきたいと思います。

次回は、地上から見て、触れて、感じたグリーンランドをお届けします。

まだまだ、お伝えしたいことがたくさんあります!


最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。


clear Yuki

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